マーケティングとデザインの関係性については、マーケティングの概念に基づくデザインやデザイナーがマーケティングのスキルを身に付けるメリットなどで書いてきました。
商業デザイン(しょうぎょうデザイン)とは、商業にかかわるデザインのことである。特に営業や商品販売(販売促進)に関わるデザインを意味する場合が多い。コマーシャルデザインともいう。
Wilipediaより
ここまで当ブログでデザイン、デザイナーという言葉だけを使ってきたのは、マーケティングとデザインの話を理解した上で「商業デザイン」、「商業デザイナー」という言葉を認識してもらいたい意図がありました。
それはつまり「作品」と呼ばれる自己表現からくるアートと言われるデザイン領域の話ではなく、戦略を立て仕組みやプロセスを経た上でアウトプットし、結果を数字の分析から図るという顧客のニーズに応えるデザインこそが商業デザインであるということを先に理解してほしいと思っていたからです。
手法から議論するのではなく、例えばヒアリングや調査などから見えてくる仮説から、指標(KPI)を定めつつ戦略的にデザインを制作することで「売れる」という目的につなげるといったビジネスの視点を大切にすることが、今の時代の商業デザインの担うべき責任ではないか、と思います。
ユーザー視点とビジネス視点
前回、顧客へ価値を提供するためには顧客心理を理解し、課題解決のためのデザインを作成することである、と書きました。
調査に基づき、ユーザーが求める体験価値や本質的なニーズを明確化することがユーザー視点であるならば、事業・サービス戦略などの強み、取り巻く市場や競合などを意識することが、ビジネス視点を持つという意味になります。
企業として目指すべきビジョンや事業・サービス戦略を理解し、顧客層などターゲティングを掴み、市場や競合などを調査・認識した上で、それらがどう実績や売上につながっているのかを理解した上でアウトプットすることが、単純な制作物としてではなくビジネス視点から価値を高めるデザインである、と言い切ることができると思います。
デザインの価値を高めるためには
難しく聞こえるかもしれませんが、これはプロジェクトや仕事の大小、社内外の案件に関わらず、つねに商業デザイナーであれば自然に理解できる側面もあるはずです。
- 事業・サービス戦略を理解=IR資料やプレスリリースなど会社や事業の戦略について理解する
- 顧客層などターゲティングを掴む=売上状況や顧客データなどを理解する
- 市場や競合などを調査・認識=他社や競合ブランドなどとの比較や調査、ヒアリングなどでニーズやトレンドを知る
- どう実績や売上につながっているのか=実績データや、過去施策の積み重ねから見えてくる傾向など
マーケティングの視点以上に、さらに踏み込んで事業内容やサービスの戦略まで認識・理解することで、課題解決に対し、さらなる価値のあるデザインを提供できるのではないでしょうか。
ユーザー視点を理解した上でビジネスとの統合を目指すには
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