デザイナーが理解しておきたいブランディングデザイン

Marketing
前回の記事のサムネイルで表現したブランディングデザインの一例

マーケティングの目的や役割は、ターゲットや顧客のニーズを満たす商品・サービスを開発、理解し、認知され提供される一連のプロセスを作るという売れる仕組みを作る活動だと以前の記事に書きました。

STP分析とは、セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニングと3つの項目から分析するマーケティングの手法です。

市場を細分化(セグメンテーション)し、どのセグメントをターゲット(ターゲティング)にするのか、そしてターゲットとするセグメントのなかで立ち位置を把握・分析することをポジショニングと言います。今回はこのSTP分析を理解しブランディングに紐付ける考え方を書いていこうと思います。

ポジショニングとは

商品・サービスに、他の企業にはない魅力や価値があったとしても、顧客に伝わらなければ売れませんよね。

顧客になってくれそうなターゲットに対し、市場の中で商品・サービスの立ち位置を決定し、競合他社と差別化・認知してもらい、優位な立場を位置づけることをポジショニングといいます。

ポジショニングを明確にすることは、マーケティング戦略の有効性をステークホルダー(組織に於ける利害関係者)に認知・納得させることができ、かつブランド力を高める効果が生まれます。

ポジショニング戦略とは

ポジショニング戦略は、具体的にはこのような意味です。

ポジショニングの基本手法は、「消費者の頭の中に既にあるイメージを操作し、それを商品に結びつける」というものだ。誰の頭にもない新奇なイメージをつくりだすことではない。

ポジショニング戦略[新版]

顧客満足度を上げることがマーケティングを軸に考えるデザイナーの目的ですが、ポジショニング戦略は顕在層のニーズ(欲しいものを自覚している顧客)潜在層のニーズ(欲求があるものの自覚できていない顧客)の中でどちらをターゲットにするかでその方向性は大きく異なります。

デザインとブランディング

競合他社と同じような商品・サービスの中でも「顧客に選んでもらえる」ために、意思決定を誘導・サポートし、競合他社よりも優位性を獲得する活動をブランディングといいます。

意思決定を視覚的にサポートすることで一目でブランドの価値を明確に伝え、ユーザーの興味関心を惹きつけられることがデザインにできる最大の役割です。

ブランドイメージをデザインする

例えば、潜在的に理解できているひとつの例として

【ビール】
ビール×「特別感、贅沢、質の良さ」=クラフトビール
ビール×「週末、リッチ」= プレミアムモルツ、エビスビール
ビール×「節約、毎日」= 発泡酒、PBブランドビール

【ホテル】
ホテル×「特別感、贅沢、質の良さ」=ラグジュアリー、リゾートなど遠方のホテル
ホテル×「週末、リッチ」= 近場で少し贅沢なホテル、シティホテル
ホテル×「節約」= ビジネスホテル

【洋服】
洋服×「特別感、贅沢、質の良さ」=高級デザイナーズブランド、オーダーメイド
洋服×「日常、着やすさ」= 好きなブランド、買いやすい価格帯
洋服×「節約」= チェーン店、古着

文章でわかりにくければ、ポジショニングマップ(意味の異なる2軸4方向で作られたマトリクス上に商品・サービスを配置した図表)を作成するのも差別化を視覚的にわかりやすい例として良いと思います。

デザイナーはそこに、デザインで意思決定を意図的に浸透させることで、ブランド認知や商品の購入といったコンバージョン(利益につながるアクション)へと繋げることができるため、戦略的にポジショニングを考えるマーケティングとブランディングは繋がりが深いのです

ちなみにサムネのイメージ写真はそれぞれ
ビール×「週末、リッチ」
ホテル×「週末、リッチ」
洋服×「特別感、贅沢、質の良さ」
をイメージして選定しました。ここに最適なデザインを構成し適切なアウトプットをすることまでが、デザイナーのすべき業務なのではないかと思っています。

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