デザイナーが理解しておきたいブランディングデザインという記事の中で、顕在層と潜在層それぞれのニーズに対し、意思決定を誘導・サポートする活動がブランディングである、と言うことを書きました。
ブランディングの定義
前回少し書きましたが、例えばひとつの例として、ビール、ホテル、洋服に対するイメージを書き出してみるとこういったイメージが潜在的に出てくるかなと思います。
【ビール】
ビール×「特別感、贅沢、質の良さ」=クラフトビール
ビール×「週末、リッチ」= プレミアムモルツ、エビスビール
ビール×「節約、毎日」= 発泡酒、PBブランドビール
【ホテル】
ホテル×「特別感、贅沢、質の良さ」=ラグジュアリー、リゾートなど遠方のホテル
ホテル×「週末、リッチ」= 近場で少し贅沢なホテル、シティホテル
ホテル×「節約」= ビジネスホテル
【洋服】
洋服×「特別感、贅沢、質の良さ」=高級デザイナーズブランド、オーダーメイド
洋服×「日常、着やすさ」= 好きなブランド、買いやすい価格帯
洋服×「節約」= チェーン店、古着
これまでの経験やSNS、これまで見た広告などのイメージ戦略などで、のイメージが形作られているものがブランドイメージと呼ばれ、その規準をベースに顧客は店や商品を選択します。
対して、企業そしてデザイナーは「顧客に選んでもらえる」ために、あらゆる接点(商品、店舗、顧客対応、Webサイト、SNS、広告など)を通して競合他社と同じような商品・サービスの中でも自社がどのような価値を提供できるかの約束ごとを体験・理解してもらいます。その活動全般のことをブランディングといいます。
マーケティングの定義
マーケティングについてはここまでいくつか記事も書いてきていますが、例えば
マーケティングの目的や役割は、ターゲットや顧客のニーズを知り、ニーズを満たす商品・サービスを開発し、その商品・サービスの特徴を理解し、認知され提供される一連のプロセスを作る
マーケティングの概念に基づくデザイン
と書いたように、一連のプロセス(広告宣伝、市場調査、顧客分析、コンテンツやSNSなどのコミュニケーション)を作る活動を指します。
つまりブランディングは、企業側からどのような価値を提供できるかという長期的にぶれない約束ごとを提供する活動であり、マーケティングはどのような約束ごとを掲げているのかを知ってもらうきっかけを作り、顧客の信頼を深める役割を担っているといえます。
企業理念に基づくブランディングデザイン
ブランディングデザインを確立させるためには、企業イメージの統一が必須です。
デザインとしてベースとなるコーポレートアイデンティティ(ロゴ)、カラー、フォントを統一することで世界観を確立させ、ブランドの特徴やストーリーを設計しすべてのデザインに反映することでブランド認知を高め、顧客に対して意思決定を誘導することがブランディングデザインです。
企業理念として環境問題や社会貢献に配慮することを約束ごととするのであれば、自然や緑を喚起させるようなデザインのベースとなるガイドラインを設定します。これがブランディングを構築する際に、デザイナーとして関わる意義だと思います。
コンセプトを伝えるブランディングデザイン
自社のイメージを、顧客アンケートやマーケティング領域から分析できる数値、他社比較などから理解・把握することで、どのようなCIにすべきか、フォントの種類はどんなものがいいか、色の指定をどう選定すればいいかなど一貫性のあるデザインを考えることができます。
ブランディングデザインは、企業理念ほど大きいものだけに反映されるわけではなく、すべてのデザイン成果物に関わります。
コンセプトイメージに基づいたデザイン成果物を作成することで、競合他社との差別化を図り、企業への信頼や安心感を高められるでしょう。
コメント